2011年12月23日金曜日

無惨画

パッケージより
この作品はJVD製作のオリジナル・ドキュメント・ビデオです。TVなどの一般メディアでは報道を自粛せざるを得なかった異常猟奇犯罪にスポットをあて、病める現代社会の隠された真実に意欲的な作品です。この作品には、一般映像倫理に抵触すると思われる場面が多数登場します。御家庭での視聴に際しましては十分な御配慮の上、御鑑賞ください。



タイトルは「むざんえ」と読みます。



「AVギャル殺人ビデオは存在した!」という、スナッフフィルムの存在をほのめかす煽り文に思わず買ってしまいました。
パッケージ裏の解説文も、なんともそれらしい作りだし。



以降、ネタバレしながら感想文です。
なお、この映画はモンド系なんでパッケージも「続きを読む」をクリックしないと表示しないようにしています。



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「AV女優が被害者になったスナッフフィルムの存在を追跡する」というドキュメンタリーの形式を取っています。
多くのメタドキュメンタリー系の冒頭部(我々は未開部族を追ってアマゾンへ向かった~的な部分)を組み込んでいるといったカンジ。
んで、AV女優の関係者にインタビューをしながら、ついにはスナッフフィルムを入手する、ってのが前半部のパートです。
このへんの作りは、報道系ドキュメンタリーの作りを模倣していて、臨場感っぽいものがあります。
何よりも特筆すべきは、殺人描写がいっさい無いのに、それなりの緊張感を保ったまま尺を持たせているという点。

そして、ついに噂のスナッフフィルムを入手。
このスナッフフィルムと一緒に、犯人からの犯行声明文が送られてきます。
声明文は犯行の有り様を刻銘に綴っていたっていうんだけど、便せんの枚数の割りには、記述が多すぎるのはご愛敬か。

んで、ついに核心。その前に"WARNING"が表示されます。
報道の使命とか知る権利など、安っぽい忠告文を入れた後に殺人描写。
「え?」って思うほど、淡泊で短い描写。しかも、モザイク入り。
パッケージを確認すると、1999年作。もう、この時代は、このぐらいの描写しかできなかったんでしょうか?
ギニーピッグ的なのは無理だった?

でも、ここで終わりません。
さらにドキュメンタリー制作者達は、フィルムに写っていた手掛かりを元に、スナッフフィルムの制作者を捜し出そうと試みます。
犯人の車やナンバープレートも写ってるのに、何故かそれには目もくれずに、ひたすら映像を解析。
そして、ついに犯行現場とおぼしき場所を特定、そこへ急行だ!

ここから先はネタバレも含むんで、未見の人は注意してほしいけど。

犯行現場をウロウロしていたら、犯人に拉致されてるレポーター。
ついにはレポーターも犯人に虐殺されそうに――このへんは『食人族』系の「実はフィルムが残っていた~」的な展開。
ところが実は、これが全部ヤラセでVシネマの撮影だったということが分かる。
冒頭の報道的な部分から、ここまで全部、Vシネの劇映画だったというわけ。
『食人族』が食人ドキュメンタリーのメイキング部分を暴いたメタドキュメンタリーだとすれば。
この映画は、そのメタドキュメンタリーの撮影過程を暴いた、メタモンド映画といったところだろうか。

その後、レポーター役の主演女優と、映画監督が諍いを起こして、カメラの前で殺人事件が発生。
結果的に、「AVギャル殺人ビデオは存在した!」ということになる。

残虐描写の規制が厳しくなった時代にあって、それを逆手にとって残虐描写を徹底的に隠す。
残虐ドキュメンタリーの作成手法を踏襲しながらも、最初は「スナッフフィルムのありかを探る」という取材部分からはじめ、「スナッフフィルムは作り物でした」というオチで終わらせるという常識破り。
上記の点でわりと斬新だったのは、けっこうイイ感じだったかも、と思いました。

とはいえ、「血まみれ」描写のほとんどが生理中の女とのセックス(もちろん、これも作りもんだけど)ってのが、相当に不愉快。ってか、キモい。
それと、チープなサスペンスが、わりとゲンナリするかも。


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『無残画』
監督:山内大輔
出演:江本友紀、北千住ひろし、神戸顕一、サーモン鮭山、おくの剛、平川ナオヒ、他

発売・販売元:株式会社ジェイ・ブイ・ディー



無残画~AVギャル殺人ビデオは存在した!~ [DVD]無残画~AVギャル殺人ビデオは存在した!~ [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2007-01-12


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