2011年12月19日月曜日

テコンドー・ファイター





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パッケージより

拳が唸り、蹴りが闇を裂く! 88年ソウル・オリンピックにおいてデモンストレーション競技として行われた究極の格闘技、テコンドー(?拳道)。韓国の国技であり、1500年の伝統を持つそのテコンドーの魅力と迫力を余すところなく捉えた最新ダイナマイト・アクションの登場だ!
ニンジャ群団を従え、麻薬取り引きでマイアミ制覇を目論む男、ヤシト。彼は、学生達の間の麻薬取り引きに乗りだし、彼らの気を引くために、ナイトクラブで若者に爆発的人気のバンド、「ドラゴンサウンド」の壊滅を企てる。
しかし、バンドの一員の韓国人マークはテコンドーの達人。その手ほどきを受けたメンバー達とともに、いわれなき攻撃に敢然と立ち向かっていく。ヤシトの手先となったマーシャル・アーツの使い手たちとの死闘。そしてマイアミ・ニンジャ群団とのクライマックス・ファイト!
「ドラゴンサウンド」のゴキゲンなビートに乗せて贈る、テコンドー・アクションの決定版!





日本テコンドー連盟が推薦する本作。
パッケージの概要にあるように、きっとソウルオリンピックの件を受けて日本で発売されたのかな~、なんて思います。
ちなみアメリカでの公開は1986年。



Y.K.キムという人が、プロデューサーと脚本と主演をしてます。
申し訳ないけど、オレはこのY.K.キムという人をよく知らないです。
名前や外見から、おそらくテコンドーをやっている人なんでしょうが、ネットではさしたる情報はなし。
原題『MIAMI CONNECTION』でググってみても、彼の主立った出演映画はこれしかないようです。



以下、ネタバレ上等の感想文です。



んで、いきなりですがパッケージの概要がビミョーに違ってます。
そのへんは後ほど書いていきますが。


映画冒頭、麻薬取引をしているところへ、ヤシト率いるニンジャ群団(軍団?)が乱入して取引の上前をかっさらっていきます。
このニンジャ群団ってのが、バイクに乗ってゾロゾロやってくるんで全然ニンジャっぽくない…。
ここで麻薬軍団との対決があるんですが、パッケージ裏にある銃を乱射している男達、彼らはここでしか登場しません。以後、銃を使ったバトルは一切登場しません。一切!
銃を乱射する連中を相手に、日本刀で戦うニンジャたち。なんとももっさりしたアクションですが、まあ仕方がない。
そんな中、一回だけ日本刀で切られて麻薬軍団の腕がもげるゴアシーンがあります。でも、それ以外は日本刀で切られてるはずなんだけど、血も出ないでバタッと倒れるだけ。
でも、血が出ることもある……なんで、出たり出なかったり、もげたりもげなかったりなの? っていう疑問が沸くぐらい、もっさりしたアクション。
基本的に、この映画は作りがテキトーなんで、やがて「そんなもんだ」と思うようになっていきますが…。


ちなみに我々日本人は、勝手にニンジャを良いモノと思っちゃいがちですが。
この映画のニンジャは、取引に乱入して横取りしちゃったり、大学生相手に私怨で戦っちゃうぐらいセコい悪者として描かれています。


この乱闘シーンの後、オープニングロールとともに、我らがドラゴンサウンドのバンドによる演奏シーンとなります。
これが長い。オープニングだけじゃなく、その後のクラブのシーンまでずっと演奏。正直、コレはウザい。
っていうか、この映画、本筋とあんまり関係ないこういう演出がくどいです、全体的に。


彼らが演奏しているクラブへ、先ほどのニンジャ群団のヤシトと彼と取引するジェフがやってきます。
このドラゴンサウンドには紅一点のボーカルがいるんですが。この彼女とジェフは兄妹とのこと。
ヤシトと悪だくみの話をしながらも、バンドの演奏をチラチラ見ている兄貴のジェフ。ついには「妹が男とイチャイチャしながらバンドやってるのはけしからん!」って怒っちゃいます。
実はこの映画、麻薬取引がどうのこうのって概要にあるけど、このお兄ちゃんがバンドメンバーに怒っちゃうのが直接のきっかけです。シスコン映画なんですな!


その後、ドラゴンサウンドのメンバーはマイアミの大学生だった、ということが判明。
ボーカルの彼女とバンドの男がイチャイチャしているんですが、そこで彼女が「兄とは最近会ってない」と断っておきながら、「これから会うんだけど」って。けっこうな頻度で会ってるんじゃないの、これ?
しかも、「兄は裏の社会でがんばってます」的なカミングアウト。
なのに男はノコノコ彼女に付いていって、兄貴とご対面。いや、それはマズいでしょ。
案の定、バンドのことを快く思ってない兄貴は、この男をぶちのめします。これはヒドい、展開もヒドイ。
ただ、ここではバトルにはならず、お互いその場を引き下がります。


一方、ドラゴンサウンドが活躍している陰で、彼らに仕事を奪われたバンドもいるわけで。
オレ達の仕事をどうしてくれるんだ、とクラブのオーナーに詰め寄ります。
「お前の曲はダメだよ」って身もふたもないことを言われ、逆上して暴力を振るうバンド。
ところがオーナーが達人だったので、バンドの連中は返り討ちに遭ってしまうという、なんともトホホな展開。


場所は変わって、ヤシトの屋敷ではジェフとなにやら悪だくみ。
ここでは彼らのセリフはなく、屋敷の外でニンジャ群団のノロノロした特訓風景が。あんま、スゴイって感じはしないです。
ジェフの帰り際、妹の話となり、ドラゴンサウンドはこの一帯を仕切るのに邪魔だって話になるんですが…別に邪魔はしてないんじゃない? 勝手にジェフが妹の彼氏にイチャもんつけてるだけで。
麻薬の取引に至っては、話に絡んでもないでしょ。
とまあ、こんな感じで、どんどんいい加減なお話となっていきます。


それからドラゴンサウンドの演奏が。本作2曲目だけど、相変わらずダルい。数分は続く。
しかも、このクラブでの演奏シーンはストーリーに関係ないという!


演奏が終わって、すっかりゴキゲンで家路につこうとするドラゴンサウンド。
そこへ、先ほどクラブのオーナーにボコられた連中が、仲間を引き連れてドラゴンサウンドを急襲。
「お前らのせいで仕事が無くなった!」
言いがかりもいいところ、仕事の文句はオーナーに言え。
もちろん話し合いになるわけもなく、ついには大乱闘に発展。
ここで、ようやくドラゴンサウンドのメンバーによる、テコンドーアクションが炸裂します。


荒くれ者を返り討ちにしたドラゴンサウンドは、ようやく帰宅。彼らは一軒家をメンバー達でシェアしながら暮らしてます。
(女の子だけ別)
そこで黒人メンバーが、「孤児という設定だったけど、実は韓国生まれの黒人兵士とのハーフで、幼いときに生き別れた米兵の父親を捜すためにアメリカへ渡ってきた。国務総省(字幕にそう出てる)に父の行方を訊ねる手紙を書いたんだ」という説明が入ります。
いや、なんか唐突ッスね。
っていうか、ドラゴンサウンドはメンバーだけになると、こんな感じでちょいちょい平和だとか人種差別だとか愛だとかを語りはじめたりするんですよ。セリフだけで!


一方、そのころ。
ドラゴンサウンドにボコられたバンドは「ビジネスの話しに来た」といって、ジェフの元へ。
そこで彼らが切り出すのは「ドラゴンサウンドをボコってくれたら、オレ達はまた仕事にありつける。仕事にありつけたら、その給料でお金を払うんで、ドラゴンサウンドをボコってくれないか?」と。
いやいや、ちょっと待ってよ! そんなのビジネスにならんでしょ、どう考えても。金の当てもないのに、そんなバカな話あるかよ。
しかし、ドラゴンサウンドが個人的にイケすかないジェフは、こんな話にも乗っかってくれます。
もうね、こんなのばっか。


んで、ジェフはドラゴンサウンドに、わざわざ果たし状を送りつけて決闘を持ちかけます。裏の社会の組織っていうより、高校生みたい。
そして、その果たし状を受けて立つドラゴンサウンド。そこは警察に行った方が早いんじゃねえの?
案の定、決闘のさなかに警察がやってきてこのバトルはドローに。
お互い、なにやってんだよ。


決闘では決着が付かなかったので、ジェフはドラゴンサウンドのメンバーが一人きりになったところで、こっそり近付いて拉致します。
そして、監禁。
ようやく悪者っぽい感じになったな、と思ったんですが……この作戦はまったく功を奏さず。
せっかく人質を取ってるというのに、それを活用しようともせず。
っていうか人質そっちのけで、むざむざとドラゴンサウンドの連中にボコられ、最後はジェフは勝手に鉄塔から転落して死亡という始末。
その鉄塔に、まさに人質がいたのにいったい何をやってたんでしょうな…。


ジェフをぶち殺しておきながら、妹もドラゴンサウンドも「まあ、しょうがないか」的なカンジ。むしろ、目障りな兄貴が死んだんで、これから堂々と付き合おうぜ、と。
しかも、行方不明だった黒人の父親がついに発見。明日にも会いに来るという急展開。
さあ、お父さんに会うために洋服を新調しようぜ、と浮かれた展開。
「堂々と付き合おうぜ!」「父親に会おう!」という、直球ど真ん中な死亡フラグがビンビンだったのですが。
かなりいい加減な展開だったので、気付きもしなかったんですが。


ジェフを殺された復讐に燃えるヤシト(そもそも、彼がドラゴンサウンドに悪感情を抱く理由は全くないはず。会ったこともないんだし)が、お抱えのニンジャ群団を従えてドラゴンサウンドの前に現れます。
ニンジャ群団に囲まれて「Oh、ニンジャ!」って驚くドラゴンサウンド。
まあ、こんなノリだし、これまでの演出だから、ささっと終わっちゃうんだろうな、と思ってみていたら。
いきなり、黒人が新調のスーツとともに胴体を切られ、瀕死の重傷。
「アッ! あれってフラグだったの!?」って感じ。
その後も、彼女と一緒になるんだの人も背中を切られ――あれ、こっちは何ともない?
とまあ、そんな感じの乱戦でドラゴンサウンドのテコンドーパワーが炸裂し、どんどんやられていくニンジャ群団。弱いよ!
「ニンジャが全滅しました」の報告に、逆ギレのヤシトが部下の首を刎ねる強烈なゴアシーンを経て、ついにヤシトとの一騎打ち。
結構、鈍くさいけど、そこそもおもしろいアクションシーン。だけど、ヤシトはあんまり良い見せ場もなく死亡。
ちなみに、このシーンでのY.K.キム演じるマークは、黒い革のベストにジーパンという出で立ちで、雄叫びを上げながら戦ってるんですが、ちょっと大仁田チックな装いでした。


とまあ、なにはともあれ悲しい犠牲の下に逆ギレニンジャ群団をやっつけて――と思ったら、黒人は大したケガでもなく、車椅子でケロリと参上。生きてんのかよ! あのフラグで!


とまあ、こんな感じで、いい加減な作りですが。
テコンドーの型と、ラスト10分のニンジャ群団とのバトルだけは、なかなかおもしろかったです。


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『テコンドー・ファイター』
監督:リチャード・パーク
出演:Y.K.キム、他


発売元:株式会社東北新社
販売元:株式会社ビデオ・グラフ


テコンドー・ファイター [VHS]
価格:¥ 14,585(税込)
発売日:1988-10-25

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